前回のエボーシュの話に続いて、「耐震装置」のお話。
耐震装置というと大掛かりな物をイメージしやすいかと思いますがそこは腕時計、とても小さな物です。
もう少し具体的に。
最近はグラスバックの時計が多いので、沢山の方が機械の動きをご覧になられたことがあるかと想います。
その時とくに目を引く部位にテンプと呼ばれる時計の心臓部がございます。そうです、蚊取り線香のような形をした部品が収縮運動しているあの部位です。
その円形の収縮運動をしている中心部に耐震装置はございます。
こう書くと耐震装置が如何に小さな物か想像して戴けるかと想います。
腕時計の心臓部は繊細で衝撃に弱く、バネで衝撃を緩和するのが耐震装置なのです。この図にある濃い黒色で示されている部分がそのバネになりますね。
エボーシュの話と重なりますが、昔は沢山の種類の耐震装置がありました。
最もメジャーなのがインカブロック。他にもキフショックや、国産ではSEIKOダイヤショック、CITIZENパラショックなどがあります。
ちなみにこの心臓部の作業は緊張します。
小さな人工ルビーの中央に適量のオイルをのせ、そのルビーをセットした後に耐震装置をセットします。
これだけの種類の形があるという事は、当時各社が各々に研究し、より適した形状を考え出した結果なのでしょう。
如何に売れる為に考えつくられた時計と比べ、如何に良くできた機構か考え造られた時計。そういった目線で時計を選ぶのも悪くはないのではないでしょうか。
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